雲の湧き上がるように。


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京都、三泊四日住所不定
僕は、風のことを考えていた。

吹き抜ける風は速さに比例して一瞬気圧を下げ
たとえば翼なら揚力を生む。
風はどこかに向かうと、同時に
自らが過去いた場所に何かを引き寄せる。

先週の土曜日、仕事が5時に終わると
京都へ向かった。
自分の初めての詩の展示が京都であった。
それほど大げさではない、偶然の産物だけれども
しかし、結果として、ともかく展示される、というのは
それだけで、何か戻れないラインのひとつであるようにも思う。

電車を待つ。
すぐに行きたかったけれど、
多少は部屋を片付けたりしていると、遅れる。
まぁ、どうせ翌日は京都のお店でヘルプなので
適当に京都で夜を明かすつもりだし、かまわない。

乗り換えをして、京都に近づくにつれて
深夜に近づいていく。
もはや、四条でおりる人なんてほとんどいないだろうと
思っていたけれども、思いのほか
その時間から街に出かける人間もいるようだ。

連れ立って降り、地上に上り
ざわざわと離れていく。
まだ、夜は肌寒い。

展示をしてくれてるdotは珍しく満席に近かった。
人の話に耳を傾け、グラスをあけて
感想ノートを店長に手渡す。
顔を知っているのはひとりくらいだったけれど、
人のざわめきの中にいるのも、
何も音のないところにいるのも好きだから、
少し、そうして時間を過ごす。
僕と同い年の店長は12時になると、店の客を引き連れて
どこかに遊びにいって、がらんとした中に数人。

残った人の中に僕の写真を気に入ってくれた
女の子がいて、嬉しかった。
とりとめなく、ぽつぽつと話す。
気づいたら、だいぶ飲んでいたのかもしれない。
自分の話すスピードが落ちてる。
楽しい雰囲気の傍観者としての笑顔だけが
まとわりついている。

ほんとうは、初めてのクラブでもいって
夜を明かそうと思っていたけれど
さらに飲んだら次の日に支障をきたすかと思って、
女の子と一緒に飲むという手もあったかもしれなかったけど
次の偶然に期待して名刺だけ渡して、店を出る。

小腹が空いたので味々香を探す。
よく紹介記事を見るのに食べてなかったし。
風俗関係の黒服が声をかける、店を探してるんだけど
というと、腹が減ったというのを無視して
自分の店の紹介ばかりする。
RPGの街人みたいだ。

振り切って、たどりつくとカウンターがあいてる。
老若男女、とりどりに座るはじっこに僕も座る。

だしとカレーの辛みのバランスが程よい。
豚肉のやわらかさもおいしい。
酒のあとに食べたくなる味であるのは確かだ。
隣に座っていた男女三組の合コン帰りのような連中は
酒のあと、という区切りをつけて、
儀礼的にことを進めていくんだろうか。

ラブホテルなんかは安いので
入れるのだったら助かるが
京都はあいにくと数が少ないので
最初からビジネスホテル狙いだった。
しかし、土曜の午前二時では望むべくもない。
マンガ喫茶で休むことにする。

広い部屋はどこもあいておらず
ハコの大きさに不釣り合いな
立派な椅子にもたれて、少しマンガを読んで寝た。

ケータイのアラームで目を覚ましても
朝かどうかよく分からない。
ともかく外に出ると、そこは静かな日曜の朝。
まだ、お店も閉まっており、どこか昨日の夜を引きずっているようだ。

少し離れたヘルプの店へ向かう。
そこは前いたお店で、その日でいったん店を閉め
リニューアルするのである。
懐かしいような気もしたけれど、
お客さんの顔ぶれはよく分からなくなっていた。

閉店時間までいて、
余った食材は少しもらって帰った。
後片付けの途中だったが、奈良に帰ると思われてたので
終電までに帰してくれた。
僕は早く寝たかったので、急いで京都に向かう。

京都セントラルインで泊まる。
一泊6000円なり。
窓をあけてもビルの壁。
煙草を買って、マッチをもらい
一服するが、煙はどこにもいかず、だんだん薄くなって消える。
そんな感じに僕もその日から消えるように眠る。

時間ギリギリまで寝て
外に出ると、もう街は動いていて、
僕はKSWSの協賛取り組に連絡する。
お互いの危機感の度合いがつかめないときほど
不安になるものはない。
もう後二ヶ月でイベントは始まる。
その日の夜に集まることになった。

ポルノ映画を上映する映画館の前にある公園で
昼ご飯兼、朝ご飯を食べる。
昨日のもらいものの焼豚をつつきながら
食べていると、何か、とりあわせの不自然さが
浮浪者的生活にも思える。
つぎはぎだらけだ。
公園は平和で鳩が飛びもせずに歩き回っている。

気づくと日は暮れて
僕はまた、dotに急ぐ。
まだ、展示は続いていた。
ミーティングではあったけれど
詩の話も普通にした。
前に進む時には、だけれど、こういう話が必要なのだ。
何が必要か、何が大切か、そういうことを口にしなければ
風が吹いても、その後方に吸い込まれてしまうだけだ。

改めて、次への確認をして
それなりに満足して別れる。

親から電話がある。
これからどうするつもりなのか、と。
そんなことは知らない、すべて検討中だいうように答える。
何をどのように検討しているかは特に言わなかったはずだ。

どうも、生理的に親を嫌いなのだろう。
反射的にガードをしいてしまう。
僕は一貫して楽をしたい、と答える。
もっと生きやすく生きたいと思う。
こういう無駄な意地を張るのもしたくはない。
労力の問題ではない。しかし、生きるのは疲れる。
それは生き方が定まらないからだろうと思う。
ただ一心に生きていられるのならへとへとでも
その疲れは僕を動けなくするのではなく
祝福として僕を満たすだろう。

電話をかける。
一人で帰るには疲れすぎてしまったので
人のうちにとめてもらう。

そして、また朝が来て、
お礼とともに部屋を出る。
相手は仕事もあるというのに、
僕はのんびりと街に出て、今日の協賛の営業を考える。

昼ご飯は三条のたんとろにて。
二時少し前に入ったら、どうもいったん
昼で店を閉める直前だったらしくお客さんはいない。
カウンター越しに店長さんと話す。
自分が食べておいしいものを食べて欲しい、と言う。
初心にして最後までつらぬいて欲しい心意気ですね、と僕は言ったが
誰に言ったのだろう。

たんしお定食(だったかな)は
しっかりした歯ごたえの牛タンを麦メシといただく。
とろろと、テールスープとつけあわせのキャベツの漬け物が
ある程度だが、どれもおいしい。
肉の量もきちんとあるし、ご飯もおかわりができるので
980円の値段分の満足は保証できる。

幸せな気分で店を出て協賛営業のために
David cafeに入る。
怪しげな店ではあるが、収集物はそれでも確かなものだろうと思う。
タイやら中国やらの仏像や装飾品が広い店内に散りばめられている。
コーヒーは500円でたっぷり飲める。

会計の時に店員さんに話を聞いてもらう。
熱意でしか払えないから、熱意を見せて、
と言われて、思い入れを語ったものの、うまくはいかなかった。
だけれど、最後には励ましてくれた。
言葉はまっすぐに僕に向いていた。
名刺を交換し握手をした。

ほんとうはニュートロンにも行くつもりだったが
もう少し、自分のなかで練り直したい気になって
結局、その日はラジオカフェの人と電話で確認などをする程度で
あとの仕事はしなかった。

必要なのは独りよがりでない熱意と
自分のプロジェクトへの確信なのだろう。
いや、独りよがりであったとしても、大切なのは
むしろ、「この先」についての確信なのだろう。

連休は終わり、おとなしく帰らなくてはいけない。
電車は風を連れてくる。
一瞬引き込まれそうになるが、そこに落ちるのではなく
その先に進まなくてはいけない。

少しずつ夜も暖かくなってきた。

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